ふたりのガーディアン
次の日、私は朝から憂鬱だった。


女の子達に言われた事が気になって、昨夜はほどんど眠れなかった。


いつもなら余裕を持って教室に入る私だけど、今日はあえてギリギリの時間に教室に入った。


授業が終わると教室を出てどこかで時間を潰し、またギリギリで教室に入る。


それを何度も繰り返した。


四時間目が終わると、私はスッと教室を出て、売店でパンとお茶を買い中庭へと出た。


ベンチに座って、パンを頬張る。


今日は陽射しがあたたかい。


こんな態度しちゃって。


蒼甫君達、きっと変に思っているんだろうな。


だけど、どう説明していいかわからない。


ましてや女の子達に睨まれている、なんて言えない。


「竹内?」


名前を呼ばれてドキッとして振り返ると、さわやかで涼しげな渋谷君の姿があった。


「ひとりでランチ?言ってくれたら、お昼付き合ったのに」


私の横に座ってにっこり笑う渋谷君。


「一人になりたくて、ね」


そう言って、お茶をぐっと飲んだ。


「昨日の今日だもんな。

でも、いきなり瀬名君達を避けるのはよくないんじゃない?

あの二人だって、そんなの納得しないんじゃないかな?」


確かにそうだ。


だけど女の子達の視線が怖くて、なんだか二人に近寄れない。

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