アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】

「うん…少し待ってて」

リビングを通り、キッチンへと向かう
こうして何の鎖もなければ、普通の恋人同士にみえるんだろうな…

だけど…私と藤井くんは…

キッチンでコーヒーの用意をしながら考え事をしていたから
藤井くんが私のうしろに近づいてきたことなんて気がつかなかった…


「彩月さん…」


「え?、ひゃぁっ!」


私の腰に藤井くんの腕が絡みついてきた


「ちょ、ちょっ、ふ、ふじい…く…」


しかも、唇が首筋にあたってる…


「ヤメっ…てっ…」


「彩月さんが悪いんだよ…そんな格好でいるから…」


そんな格好って、バスローブが?なんでっ?


次第に唇が耳朶に移動してくる
耳朶が超弱い私を知ってわざと、そんなコトをしてくる

足の力が抜けていきそうなのを
シンクの端を掴み、必死に踏ん張ってる…


ダメっ…なんで、こんなことするのっ?


「イヤっ…お願…いっ…」


悲しくなって、涙が溢れてくる…私の抵抗も聞き入れてくれない…


「藤井…くん…私、恵利…子さん…じゃ…ないよ…」


絡められた腰の腕が緩まった



そして、クルリと私を藤井くんの方へ向かせた
私の顔をじっと見つめ、何か言いたげな口元

と、同時に、藤井くんの携帯が鳴る
藤井くんは、立ちつくしたまま動かない


5コール、6コール…


「藤井くん?」


私が声を掛けて、やっと携帯をポケットから出し、耳にあてた


「もしもし…?」


ハァ…私は、深く溜め息をついた


藤井くんは、キッチンから出てリビングの入り口で
電話の相手と不機嫌そうに話してる


私は、気を取り直してコーヒーカップを
棚の上から取り出そうと背伸びをして掴んだけれど、うまくいかず、
見事にカップは私の手から滑り落ち床に落ちて割れた…


ガッチャーン…


「きゃーっ やっちゃったーっ」


通話が終わった藤井くんがリビングから掛けてきた


「彩月さんっ!大丈夫かっ?!」

私に怪我がないか、近寄って腕を取り全身を見た


「ご、ごめんねっ、割れちゃった、今、片付けるから…」


「いいよ、ここは俺がやるから…
それより、彩月さん…
着替えてくれる?俺、また、何するかわからないから…」


「あ、う、うん…わかった…」

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