アラサーラプソディー♪~運命のヒトは誰?~【加筆修正版】

そうゆう、優しいトコもあるのに…

やっぱり
私と一緒にいちゃ、ダメだよ…藤井くん…


クローゼットルームに行き、扉を開ければ、
恵利子さんの使っていた洋服がずらりとハンガーにかかって並んでいた


「ここに置きっぱなしってことは、もう、着ないのかな…」

適当に、掛っていたブラウスとスカートに着替え、リビングに戻った


ダイニングテーブルには、
藤井くんが温め直してくれた食事が湯気をあげて食べられるのを待っていた

「彩月さん
温め直したから、冷めないうちにどうぞ
俺も、コーヒー飲むから座って」


「ありがとう…」


藤井くんの向かいに座って、食べ始めた



「彩月さん…
恵利子さんのコト…何で知ってたの?
俺、話してないと思うけど…」


コーヒーを口に含んで一息ついた
藤井くんが私をじっと見つめながら言った


「あっ…それは…」

視線を向けられ、目を合わせたけど
すぐにテーブルのお皿に視線を移し、食べる手を止めた


「昨日…タキさんに聞いたの…
藤井くん自身のことも…

タキさん、藤井くんのことすごく心配してるよ

だから、こんなこと…もう…ヤメよ…
お願いだから…」


藤井くんの瞳をじっと見つめて訴えた
だけど…
返ってきた言葉は私の思う言葉じゃなかった


「彩月さんに、何がわかるんだっ!!
恵利子さんは、関係ないっ!

俺は、俺は、本当にあなたが好きなんだっ!
なんでわかってくれないんだっ?!」


立ち上がって
眉を寄せ苦悩に満ちた表情の藤井くんが私に言うと
リビングを後にしようとする

そして、立ち止まり…


「彩月さん…
昨日のコト、考えてくれました?

俺、本気ですから…

栗本さんくらいの人、一人くらい
解雇に追い込むことなんて簡単ですから…」


冷たく言い放って、
玄関のドアを乱暴に閉め出て行った


航のこれからの人生を
奪い取ってしまうなんて、胸が締め付けられるくらい痛い


そんなの…絶対にイヤ…

絶対に…



気分転換にベランダに出て外の空気を吸いながら
出ない答えを考え続けていた

そんな私の姿を小野田さんが見たなんて
これっぽっちも気がつかなかった

そのおかげで、私は、この部屋を出られることになるなんて
神様は本当にいたんだ、って感謝した。



< 126 / 165 >

この作品をシェア

pagetop