和田菜月物語
それから前田は大川とだけ話すようになった。

「前田!!」

「ん?」

「今日から仮入部来いよ!!」

「了解」

この学校は毎週月・水・金・土の放課後に部活がある。
その仮入部はいつでも行ける。

大川はバスケ部だ。
運動神経も抜群な前田は良いプレイヤーになると思ったらしい。

「ってか今日から入部しろよ!!」

「それは無理だ」

「何でだよ?」

「母さんに言ってないから」

「そうか…。わかった!!」

「ごめんなぁ…」

「いや。良いよ!!それよりこれやるよ!!」

「リストバンド?」

「これはバスケ部の一員の印だ!!」


そして前田は仮入部に行った。
初めてのバスケ。
すごく楽しい時間を過ごした…。

その日の帰りだ。

家に帰った前田は母親に今日の事を言った。

「どうかな?」

「あなたはそんな事より勉強に集中しなさい」

「えっ…?でも今も十分出来て…」

「あなたの父親はもっと勉強も…」

そう言った時母親は少しハッとした顔をした。

「と、とにかく!!バスケはやめなさい!!」

そう言って母親は部屋を出ていった。

前田は大川から貰ったバスケのリストバンドをその場に落とした。
その時から前田の心の中に何かが生まれた…。
邪悪な何かが…。
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