パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
会議室として使っている部屋に心は入って行く。
その後ろを颯爽とさとみがついて行った。
残された三人はしばらくじっと立っていたが、どうする事も出来ない。
ここは心に任せるしかない。
奏だけが『さとみちゃん大丈夫かなぁ。心、何を怒ってんの?』とさとみの身を心配していた。



「そこ、座って」


よく見かける細長い机が五つ、コの字型に並んでいる。
さとみはドア側の真ん中の席に座った。
心は椅子をわざわざ運んで、さとみの正面に座った。


「何か怖いですよ。心さん」


さとみがクスッと笑ってみせる。
奏ならここで堕ちるだろう。
さとみの笑顔も余裕の表れなのか、ここから逃避したい思いからなのか分からない。


「オレの方が、キミが怖いよ」


心の目は笑っていない。
二人は一瞬、鋭い目つきで見つめ合った。
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