パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「そんな事ない!奈桜は国民的アイドル、Zの雨宮奈桜なのよ!」


梓は運転席へと身を乗り出す。
青木はこんなに怒った梓を演技以外で見たことがない。
予想以上の怒り方にちょっとビビってしまう。


「国民的アイドルよ。分かる?国民的なの。誰でもなれる訳じゃない。それだけすごいの。すごいのよ。人としてだって優れてる。決して前に出ず、後ろからみんなを支えてる。私の事もそう」


話すうちに梓の声も落ち着いて来る。


「私の事を一番分かってくれてるのは奈桜。仕事の事だって。辞めろなんて言われた事もない。私が辞められない事も分かってる。この間の事だって、私の体を気遣っての事。心配してくれただけ……」


『やれやれ』と、つい言いたくなるのを青木はなんとかこらえた。
ほんと世話が焼ける。

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