パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「残念ながらオレは保育園育ちでね」


「どっちでもいいし。じゃ」


吐き捨てるように言うと、奈桜はすぐ歩き出す。


「待てって」


「まだ何かあるんですか?急いでるんですよ」


とにかく、一分でも一秒でも早く神川から離れたい。
この男といてもろくな事はない。


「梓は元気か?」


「元気ですよ」


神川が梓の事を聞いてくる事に奈桜は何の疑問も持っていない。
ただの社交辞令程度の認識。


「まさかガキなんか作ってないだろうな?」


奈桜のキリッと整えられた眉がピクッと動く。
トップシークレット。
何も悟られてはいけない。
しかし相変わらず、神川は鼻の利くヤツだ。
いつも通りに……、いつも通り……。
奈桜は心の中で三秒数える。


「オレたちのそんなプライベートにまで口出しするんですか?セクハラですよ」


うん。いつもの調子で言えた。はずだ。
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