パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「お前にセクハラしてどうすんだよ。気持ち悪いだけだろ。オレはあくまでプロデューサーとして聞いたんだよ。いつまた仕事で使うか分からないからな」


もっともな答えを言って来る。
だが、本当に迷惑な質問だ。
奈桜は不愉快になる。


「そうですか。じゃ」


奈桜はもういいだろ?という顔で立ち去ろうとする。
あからさまに顔に出ているが神川は全く気にしていない。
が、一瞬、顔が曇った。


「待て。まさか……出来たのか?」


神川の胸に何か嫌な予感がよぎった。
何が?という訳ではない。
第六感。


奈桜の鼓動が一気に速くなる。
なんとか逃げ切らないと。
でも。
実際に梓のお腹には自分と梓の大切な命が宿っている。
それを『いない』と言う事に抵抗があった。
例え嘘でも赤ちゃんを否定する事が出来ない『親』としての自分がいる。
でも、神川には言えない。
奈桜は落ち着く為にもう一度、三秒数えた。
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