パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「おい、まさか………」


神川の顔になぜか焦りの色が滲む。
それは行動をともない、気付けば奈桜の襟首を掴んでいた。
怒りに満ちた神川の表情に奈桜は驚く。


「離せ!」


奈桜は神川の手を振りほどく。


「何なんですか!」


怒る奈桜に神川は我に返った。


「あ……、すまん。つい……」


奈桜の中にひとつの疑問が芽生えた。
でもそれを口にしたくはない。
これ以上、考えたくもない。
神川のかなり動揺した顔だけで十分過ぎる答えのような気もした。


「じゃ……」


襟元を正し、目を合わさず奈桜は行こうとする。
神川は何も言わない。
気配から、相当ショックを受けているのが分かる。
『まさか』はオレが言いたい言葉だ。
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