パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「奈桜……」
マネージャーの石田の車に乗り込もうとした奈桜は、また後ろから呼び止められる。
穏やかなその声は神川ではない。
「奏。何?どうかした?」
さっきまで一緒に仕事していた奏だ。
「あ……いや……、お疲れ」
何か言いたそうだが、言いにくいようで口ごもっている。
「何だよ。そんな事、わざわざ言いに来たのか?律儀だよなぁ」
車で聞いていた石田は軽くため息をつく。
奈桜のこんなボケてる所が可愛いと言えば可愛いいのだが。
「あぁ……、いや、うん」
「あっ、マネージャーに置いてかれた?いいよ。送るよ。一緒に帰ろ。いいよね?石田さん」
かがみこんで運転席の石田を見る。
石田は携帯だけを取って車を降りた。