パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~


「奈桜……」


マネージャーの石田の車に乗り込もうとした奈桜は、また後ろから呼び止められる。
穏やかなその声は神川ではない。


「奏。何?どうかした?」


さっきまで一緒に仕事していた奏だ。


「あ……いや……、お疲れ」



何か言いたそうだが、言いにくいようで口ごもっている。


「何だよ。そんな事、わざわざ言いに来たのか?律儀だよなぁ」


車で聞いていた石田は軽くため息をつく。
奈桜のこんなボケてる所が可愛いと言えば可愛いいのだが。


「あぁ……、いや、うん」


「あっ、マネージャーに置いてかれた?いいよ。送るよ。一緒に帰ろ。いいよね?石田さん」


かがみこんで運転席の石田を見る。
石田は携帯だけを取って車を降りた。
< 187 / 222 >

この作品をシェア

pagetop