トライアングル
慌てて彼の後を追うと、彼の歩調が少し緩くなる。
私達はコンビニを出て、肩を並べ歩き始めた。
「坂口さんって、嫌いな物とかある?」
「……え?」
彼の声に釣られ横顔を見上げると、まっすぐ前を向いている凛々しい彼の姿があった。
ーー嫌いな物?
「と、特には、ないけど……」
そう言いながら、私は彼が視線をずらして足元に目をやった。
ーーな、なんか、恥ずかしい!
勝手に萩原さんを意識している。
私がそう答えると萩原さんは、「じゃあ、何でも食べれるね。じゃあそこでいいか」なんて独り言みたいに喋りながら、目的の場所にはすぐたどり着いた。
そのお店は会社からはあまり離れて居ないものの、この辺の地理状かなり複雑に入りくんだ場所になっている為、私はあまり足を踏み入れたことがなかった。
だからこんな可愛らしいお店があるなんてしらなかった。
こんな小さなカフェみたいなレストランがあるなんて。