トライアングル
こういう所は仕事なれしてるのかな?
そんな事考えながら、私は彼が差し出してくれた水を一気に飲み干す。
喉のつかえもだいぶ楽になり、ふーっとため息吐いてから彼に謝った。
「す、すいません。迷惑掛けちゃって……」
「うんん、大丈夫。それより、俺の方こそごめんね。
でもさ、坂口さんてもっと繊細な子かと思ってたけど違うんだね。
うん、でも、そんな坂口さん俺はいいと思うよ」
褒められているのだろうか?それともけなされてる??
萩原さんが何を言いたかったのかいまいち分かりずらいけど、でも彼の好みは『繊細な子』ではないらしい。
確かに私はどちらかといえばがさつな方だし、少しは萩原さんのタイプなのかな!?
食事を終え外に出ると、少し寒かった。
寒さに肩を縮めると、そっと後ろからマフラーが巻かれた。
「俺が使ってるやつだけど、よかったらどうぞ」
どこまでも気が付く彼。
さっきの会計も「俺が誘ったから……」なんて全部払って貰ったし、今度はマフラーまで貸してくれるなんて。
萩原さんは寒くないの?
でも、私はそれを聞くどころか、熱くなった頬を隠すのに必死で彼の顔もろくすっぽ見られなかった。