トライアングル
その後、萩原さんに「送ってく」って言われたけど、さすがにそこまでして貰う訳にも行かない様な気がして、丁寧に断り私達は別れた。
別れ際、私の首に巻かれたマフラーを返そうとすると、
「外したら寒いでしょう!だからそれ貸してあげる。
気が向いたら返して」
って。
『気が向いたら……』って。
けど、彼の優しい心遣いにいつになく温かなものが胸の中に広がって、私はもう胸が一杯で上手く言葉が出ない。
だからただ、こくりと頷くだけで精一杯。
彼はそんな私に再び優しい言葉を紡ぎ出す。
「じゃあ送らないけど、気を付けて帰れよ。
それと、今日は一緒に飯、ありがとう。また、行こうな」
「………」
いつもよりも優しい眼差しを向けられて、私はまたなにも言えないまま顔を赤くして俯いた。