もう一度抱いて
次第にまとまっていく音楽を聴くのは楽しかったけれど、さすがに一時間もすると耳が痛くなったのか、亜美は散歩に行って来ると言って出かけてしまった。


私も気分転換に、ちょっと外へ出た。


このペンションは、マスコット犬として、柴犬のコテツが飼われている。


私はしばらく茶色の毛並みが美しいコテツとじゃれあって遊んだ。


その時、ガチャンとスタジオ入口の扉が開いた。


誰かなと思って見ると、キョウセイだった。


「何してんの?」


長い前髪を掻き上げるキョウセイ。


「ちょっと、コテツと遊んであげてたの」


私って犬が大好きなんだよねー。


「遊んであげてたのか、遊んでもらってたのか、どっちだろうな?」


キョウセイが、ククッと喉を鳴らして笑う。


えー、なにそれ?


どういう意味だろ?

< 104 / 479 >

この作品をシェア

pagetop