もう一度抱いて
「わーーー、恥ずかしい。
どないしよーーー。

あ゙ーーーーーっ!」


そう言って髪を両手で掻きむしる相原君。


外ハネのお洒落なヘアスタイルも、もう無造作というより、ボサボサになっている。


「なんで俺、こんなことしてもうたんやろ。
別に、普通に話しとっただけやんなー?」


「ま、まぁ、そうだよね」


普通より、ちょっと熱く語ってたけどね…。


「うぉーーーー!」


そ、そんなにショックなんだろうか。


された私の方がよっぽどショックだと思うんですけど!


「あ、相原君。
ちょっと騒ぎ過ぎだよ。
もういいって。
気にしないで」


キョウセイといい、相原君といい、このバンドはキス魔が多いのか?


なんて危険なバンドなんだ!


「ほんまごめんな。
許したってな」


「はいはいー」


「なんや、その言い方。
冷たいやん」


「じゃあ、怒ったらいいの?」


「いや、それはそれでイヤやねんけど…」


「もうこの話はおしまいっ」


また事故だよ、まったく。








明かりの行き届かないベンチで、



相原君と弾みで交わしたキス。



私は全く



気づいていなかった。



この時のキスを、




キョウセイが見ていたことに…。
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