もう一度抱いて
そんなことを悶々と考えていたら、当然歌詞など思い浮かぶはずもないわけで。


ここ数日、歌詞を書く手がすっかり止まってしまっていた。


コテツの近くのベンチで、私は今キョウセイに呆れた顔をされている。


「こらー」


コツンとボールペンで私の頭を叩くキョウセイ。


「どうしたんだよ。

なーんも出て来なくなったじゃねぇか。

この中、空っぽになったのか~?」


「い、痛いって。

そう何度も叩かないでよ」


それ、地味に痛いんですけど。


「急にスランプ?

ちょっと無理させ過ぎたか?

またリフレッシュしに行くか?」


さらっと言われて、ドキッと心臓が跳ね上がる。


「休憩始まったばっかだし、どっか散歩にでも行く?」


「ん?んー…。
そうだね。
ちょっとだけ、出かけたい」


ペンションで過ごせるのも、あと2日だものね。


少しくらい二人きりで過ごしたいな、なんて。


そんなことをつい思ってしまった。
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