もう一度抱いて
非常階段に、私の乱れた呼吸が響き渡る。


どうしてこんなことになってしまったんだろう。


私はみんなに迷惑をかけてしまったことを、ひどく後悔していた。


その時、ギィィと非常扉が開く音がした。


亜美だろうと思いそのまま顔を伏せていると、コツンコツンというヒールのような靴音が聞こえて来た。


まさかと思い顔を上げると、私の目の前に京香が立っていた。


「京香…」


無意識に震えてしまう指をぎゅっと握って隠す。


京香は綺麗なロングスカートを履いて、今日もものすごい美人だ。


京香は私を冷たい目で見た後、クスリと笑った。


「無様なものね…」


京香の言葉に、ドクンと心臓が跳ね上がる。


「ライブでロクに歌えないような人が、トモオ君のバンドのボーカルだなんて。

トモオ君がかわいそう。

彼ら、人気のあるバンドなのに。

アンタがそうやって足引っ張るんだよね。

人気が落ちたら、絶対アンタのせいだよ」
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