もう一度抱いて
私がそう言うと、キョウセイが目を見開いた。


「永瀬…、お前覚えてたのか…?」


「え…?」


「覚えてないって言ってたけど、本当は覚えてたのか…?」


何?


急にどうしたの…?


キョウセイの目が、少し怖い。


「そ、そうだよ…。覚えてるよ…」


あの日のことは、鮮明に刻まれてるよ…。


私がそう言うと、キョウセイはきゅっと目を細めた。


「永瀬…」


「な…に?」


なぜか苦しそうな表情をするキョウセイに、心臓の鼓動が速くなってしまう。


依然私の腕を掴んでいる手に、ますます力が込められていく。



「俺も…、



覚えてるんだ…」




「え…?」





「あの日のこと、






全部、





覚えてるんだ…」
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