もう一度抱いて
俺は食事をしながら、背中に変な汗をかいていた。


それはこの子が京香に、ホテルでの件を話すんじゃないかという恐れではなく。


京香という彼女がいるのにホテルに誘った俺を、永瀬里桜がどう思っているかが気になったからだ。


軽いヤツだと、思ってるよな…?


軽蔑…してる…?


俺は永瀬里桜が京香に俺とのことを話すなら、それでもいいと思っていた。


でも彼女は京香に俺のことを知らないと言った。


俺に気を遣ってくれたのだろうか。


それとも…。


本当にあの夜のことを無かったことにしたいんだろうか…。


そう思うと、なんだか胸の奥がチクリと痛んだ。
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