もう一度抱いて
「好き、だ」


不器用に告げた後、キョウセイはさらにぎゅっと目を閉じた。


私は思わず、空いた手でキョウセイの骨張った頬にそっと触れた。


その手に自分の手を重ねるキョウセイ。


ゆっくり瞼が上がると。


その目には、涙の膜が光っていた。


私がにっこり笑うと、キョウセイも少し口角を上げた。


「嬉しい。

それが聞けて…。

すごく嬉しい…」


少し張り詰めていた空気が、柔らかさを帯びる。


キョウセイの気持ちを聞けた。


もうそれだけで、私の胸はいっぱいだった。




その後キョウセイは、歩きながら話そうかと言って、私の手を引いて歩き始めた。


繋いだ手は、すごくあたたかかった。


キョウセイは、私と出会ってから今までのことを、少しずつ話してくれた。


どんな気持ちで私と接していたか。


どんな思いで私を見つめて来たか。


キョウセイは私が思っている以上に、私のことを思ってくれていた。


いつも無表情な彼だけに、そこに隠された思いの深さを知って、涙がこぼれそうになった。
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