もう一度抱いて
気がつけば私とキョウセイは、キョウセイのワンルームマンションのドアの前に着いていて。


キョウセイは鍵を開け、私を中に入れてくれた。


久しぶりに入るキョウセイの部屋は、以前来た時とほとんど変わっていなかった。


「暑いね」


そう言ってキョウセイは、リモコンでピッとエアコンのスイッチを入れた。


「座って待ってて。
コーヒー入れて来る」


私はローテーブルの近くの床に腰を下ろした。


まさかまたこの部屋に来られるなんて思いもしなくて、胸が熱くなってくる。


しばらくすると、部屋の中がコーヒーの香りでいっぱいになった。


キョウセイはマグカップを2つテーブルにコトンと置き、私の目の前にポーションミルクとシュガースティックとスプーンを添えてくれた。


「あれ?キョウセイってブラック派だよね?
どうして、砂糖とミルクがあるの?」


私がそう聞くと、キョウセイはコーヒーを口にしながら、チラリと上目遣いで私を見た。


「永瀬のために買っておいたんだ…。

また、いつかここに来るかもしれないと思って…。

バカだろ?俺」


クスッと笑うキョウセイがなんだか色っぽくて、頬に熱が帯びた。


「役立って、良かったよ…」


思わず口元が緩んでしまいながら、私は砂糖とミルクをコーヒーの中に入れた。


そっとコーヒーを口にすると、なんだかホッとしてしまった。
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