もう一度抱いて
大学を後にし、私とキョウセイは駅までの道を手を繋ぎながら歩いていた。


「なぁ、永瀬」


「ん?」


「大学祭で歌う曲なんだけどさ。
3曲のうち1曲は、あの曲にしないか?」


「あの曲って?」


「ペンションから戻ってすぐに俺が永瀬に贈った曲。

歌詞、つけてくれてただろう?」


「えぇっ?どうして歌詞つけたこと知ってるの?」


驚いて目を見開くと、キョウセイが堪えきれないようにクスッと笑った。


「バンドの連中、みんな知ってるよ。
しかも、俺を想って書いたってことも」


「えぇっ、うそーーー!」


やだー。


なんでバレてるの?


もうっ。もうもう!


恥ずかし過ぎるーーーっ!


真っ赤になっていると、キョウセイが私の手をぎゅっと握った。


「あの曲はさ、永瀬を想って作ったんだ…。
だから、歌詞がつけてあってすげぇ嬉しかった…」


「キョウセイ…」


キョウセイも私を想って作ってくれていたの…?


「冗談抜きでさ、すげーいい歌詞だと思った。

今まで永瀬が書いた歌詞の中で、一番いいと思う」


え…?ホントに…?


そう言われてみれば、確かに今までで一番早く書けたし、一番心を込めて書いたかも。


だって…。


大好きなキョウセイを想って書いたんだもの。


「だから、1曲はあれにしよう。
多分、みんなも賛成してくれると思う。
ホントに良い歌詞だから」


「うん…」


そうだね。


キョウセイと二人で作り上げた曲。


それが披露出来るなら、嬉しい…。


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