もう一度抱いて
朝田さんはどう答えてええんか、わからへん様子や。


まぁそんなん言われるん、初めてなんやろな。


「あんなあ、朝田さん」


「何?」


「そら確かに、つらいことがあったんやと思う…。

耐えられへんような、死にたなるような事やったんやろ。

せやけど、時間が経つにつれて、そのかわいそうな自分に酔うてへんかった?

それを前に出す事で、人の注目集めてへんかった?」


「な…によ、それ…」


「私って、かわいそうでしょ?だから、私を見て。

私って、かわいそうでしょ?たから、優しくして。

苦労してるでしょ?それでも頑張ってて偉いでしょ?って…」


俺の話に、朝田さんの顔色がみるみる変わっていく。


「さっきから聞いてたら、何なの?勝手な事ばっかり言って。

あなたに私の何がわかるのよ!

何も知らないくせに、失礼な事言わないでよ!」


彼女の声が大きくなり、少し周りの視線を感じたけど、俺はすぅと大きく息を吸った。
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