もう一度抱いて
「里桜ちゃんってどんくさいとこあるし、顔もむっちゃ童顔で、案外本人はコンプレックスなんかもしれへん。

せやけど、あの子はそれでもええって、自分のこと認めてんねん。

そんな自分を愛してんねん。

そういう人はな、そんな一見欠点に見えるようなところも、魅力のひとつになっていくねん。

なんでか知らへんけど不思議とな…」


朝田さんは椅子の背もたれにもたれ、腕を組み、何か考えとる様子や。


「朝田さん。

朝田さんが真っ先にせなアカンことは、ありのままの自分を好きになることや。

まずはそこからやな」


「ありのまま…?」


首を傾げる朝田さん。


「さっき自分は里桜ちゃんに比べて優しくないって言うてたやん?

そうやって人と比べたりせんことや。

優しくなくても別にええやん。

みんながみんな聖人君子になる必要あらへんやろ?

同じ枠に、はめ込まんでもええねん。

完璧でなくてもええねん。

自分にあんま高い要求せんことや」


もうちょっと気楽に生きたらええと、俺は思う。


この人は、このあまりに良過ぎる外見が、弊害になってるような気はするよな。


完璧な人間に見えるからなあ…。
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