もう一度抱いて
震える手で鍵を開け、ガチャンと扉を開く。


そのわずかなドアの隙間から、キョウセイが顔を出す。


息を切らし、肩が上下するキョウセイと視線が絡み合い、心臓の鼓動がドクンドクンと速度を上げていく。


「永瀬…」


中低音の優しい声。


ずっと、ずっと聴きたかった声。


手を伸ばせば、すぐそこにキョウセイがいる。


これは夢…?


夢なのかな…?


「永瀬…。

京香がね…。

永瀬の元へ戻っていいって…。

そう…、

言ってくれたんだ…」


うそ…。


京香が、そんなことを…?


「ホント…に…?」


震える声を出す私に、キョウセイは“うん”と頷いて。


「じゃあ…」


じゃあ、私とキョウセイは…。


「長い間…、待たせてごめん…」


きゅっと目を細めるキョウセイ。


目の前が涙で滲んで、キョウセイの姿が霞んで見える。



「キョウセ…」



そう言って手を伸ばした途端、



キョウセイはドアを勢い良く開け、



玄関へと足を踏み入れて、



私の腕をぐっと引き寄せ、



ぎゅっと力強く抱きしめた。

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