もう一度抱いて
次の日のお昼、私は大食堂の入口付近で磯村君を待った。


何を言われるのだろう。


そう思うと、朝から憂鬱だった。


「お待たせ」


ソフトな声に振り返ると、磯村君が私の後ろに立っていた。


「あの…、話って…?」


ドキドキしながら、問いかければ。


「メシ食いながら話すよ」


あっさり言い放つ磯村君。


えーっ?


一緒にご飯食べるのー?


はぁ…。


なんだか落ち着かない。


私達は二人してA定食を頼むと、奥の席に向かい合わせに座った。


「とりあえず、食おうか」


磯村君に言われ、私はご飯を口に運んだ。


しばらく黙って食事をしていた私達だけど、半分くらい食べた頃、磯村君がようやく口を開いた。


「歌詞、見たよ。

無難にまとめたね」


磯村君が涼しい顔で私を見た。


「かなり文章力があると思うし、相当頭がいいっていうのはよくわかった」


「はぁ…」


これって褒められているのかな?


よくわからないな。


「大学のレポートなら、これで“優”がもらえるだろうが、歌詞では通用しない」


「え…?」


どういう意味…?
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