もう一度抱いて
「キョウセイ、水くさいわー。彼女が出来たんやったら、俺らに教えてくれたらええやん」


しばらく続いていた沈黙を破るかのように、相原君がキョウセイに話しかけた。


キョウセイは手に持っていたジョッキを口へと運ぶと、ビールを少し口にしてふぅとため息をついた。


「そういうのあらためて友達に言うの、照れるから…」


ボソッと呟くように言うキョウセイ。


「なんや。それだけー?

どうせライブも、彼女に見られんの恥ずかしかったんやろ?

どんだけウブやねん。

朝田さーん。許したってな」


明るく話す相原君に、京香の口元が緩む。


「なんだ。そうだったのね」


クスクス笑う相原君と京香。


キョウセイも、うんと2、3度頷く。


そんな三人の横で、私と亜美と小山君は黙々とお酒を飲みながら、おつまみを食べていた。


「ねぇ、トモオ君。

里桜がバンドに入ったこと、どうして私に教えてくれなかったの…?」


京香の質問に、私と亜美の動きがピタリと止まった。


「……ごめん。

ライブが終わったら、話すつもりだったんだ。

俺、ライブ前は音楽にしか集中出来ないからさ。

悪かったよ…」


へぇ…。そうだったんだ。


ライブが終わってから、話すつもりだったんだ…。

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