君色のセカイ
「ハァハァハァ…
やっ…と…着いた…ぞ…」

「そうだ…ね…ハァハァ」


二人とも全力で走った結果間に合ったのだが周りの目はとても痛かった


なぜなら涼しいはずの春なのに汗をダラダラとかき校門の前のど真ん中で手を膝において息をハァハァと切らしているからだ



「フゥ…間に合ってよかったな」

「そうだね…」


もうケロッとしている蒼志は中学でサッカー部だったこともあり体力あるし走りが速い。

それに着いて行く沙莉は蒼志の何倍も疲れていたのだ



「ハハハッ笑
朝から大変そうですね、そこのカップルは〜」

後ろから聞き慣れた声がする


「麻莉〜泣」


麻莉こと塚本麻莉( ツカモト マリ )は
私の小学校からの親友で私のことならなんでも知ってる。
(もちろん私も麻莉のことならなんでも知っている!)


「塚本か…
塚本一人だけどアイツはどうした?」


「あぁー…
電車で一緒に来たんだけど痴漢に間違われて落ち込んでいまトボトボ歩いてきてるよ」


「あれまぁ…」


蒼志と麻莉がさっきから「アイツ」呼ばわりしているのは麻莉の彼氏の田中尚希( タナカ ナオキ )だ。


「あっきたよ
尚希ーーーー!ねぇもう始まっちゃうんだけど!?」

麻莉普段は優しいけど尚希君に当たるときだけ少し冷たい
いわゆるツンデレってやつだね...



「麻莉〜泣
もう俺生きていけないよー…」

あらら笑 いつも元気でうるさすぎる尚希君だから今日は静かで丁度いいかも
でもメソメソしすぎでしょ!!!!


そんな尚希君へ麻莉が活を入れる

「なにいってんの!?
やってないんでしょ!?
ならもーちょっとシャキッとしてよ!!!」


また言い方がキツイなぁ笑




でもなんだかんだラブラブな二人を蒼志と私で幸せそうに見つめていた



「んーじゃあ行きますか!」

蒼志の一言で可愛い言い合いをしていた二人も止まり尚希君のテンションが低いのを除けばみんなニコニコしながらクラス分けの表を見にいった





えーっと…柊 沙莉…柊 沙莉…

あった!3組だ!

じゃあ倉持 蒼志… 倉持蒼志…

あっ!同じ3組!?


隣にいた蒼志を見ると蒼志も同時にこちらを向いた

「「3組?」」

二人でハモってしまった


「やったーーー!」

蒼志がこっちに来て手を差し出す


それに応え私も手を差し出し手を繋いで

「やったねっ!」

って言った


この学校は3年間クラスが変わらないから高校生活ずーっと一緒だ!


嬉しい…と静かに二人で喜びを噛み締めあってるとニヤニヤしながら


「ラブラブですな〜
邪魔するようで悪いけどこのバカと私も3組だよ〜」

と麻莉が言ってきた

この4人で3年間同じって超幸せ!

神様ありがとうー!



そう言ってみんなで
3組の教室まで楽しく話しながら行った











この時は知らなかった。
後ろから私を見てる人の存在を。
クラスの名簿にあの名前があることを。


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