予言と過去



そんな ある日。



「ぎゃはははっ! こいつマジ弱っちい!!」



男友達が騒いで、女友達は少し顔を強張らせながら、彼等を見ている。



「何?」



あたしが声を掛けると、男子達は振り返って。



見えた光景に、息を飲んだ。



あたしの友達5人に囲まれて、地面に蹲っているのは、金と黒のメッシュの髪の少年だった。泥と涙で汚れた顔を ゆっくりと上げて、あたしを見つめる。



「……誰? そいつ。」


「え、ウィン、知らねェの?」



男子達は驚いたように顔を見合わせると、少年の髪を ぐいっと掴んだ。



「こいつ、龍族の役立たずだよ。超 弱いんだ。」


「へぇ……。」


「ウィン、マジで知らねェの? この村で こいつの事 知らねェの、多分お前だけだぜ。」



そんな事 言われたって、ほんとに知らなかった。あたし、昔っから流行とか噂とかには無頓着なんだよね。



「……で、何してんの?」


「見りゃ解るだろ? いじめてんの。」



そう言って、男子は少年の頭を地面に叩き付ける。龍の子は小さく呻いたけれど、泣き喚いたりはしなかった。



……いじめ?

< 38 / 89 >

この作品をシェア

pagetop