予言と過去
そんな ある日。
「ぎゃはははっ! こいつマジ弱っちい!!」
男友達が騒いで、女友達は少し顔を強張らせながら、彼等を見ている。
「何?」
あたしが声を掛けると、男子達は振り返って。
見えた光景に、息を飲んだ。
あたしの友達5人に囲まれて、地面に蹲っているのは、金と黒のメッシュの髪の少年だった。泥と涙で汚れた顔を ゆっくりと上げて、あたしを見つめる。
「……誰? そいつ。」
「え、ウィン、知らねェの?」
男子達は驚いたように顔を見合わせると、少年の髪を ぐいっと掴んだ。
「こいつ、龍族の役立たずだよ。超 弱いんだ。」
「へぇ……。」
「ウィン、マジで知らねェの? この村で こいつの事 知らねェの、多分お前だけだぜ。」
そんな事 言われたって、ほんとに知らなかった。あたし、昔っから流行とか噂とかには無頓着なんだよね。
「……で、何してんの?」
「見りゃ解るだろ? いじめてんの。」
そう言って、男子は少年の頭を地面に叩き付ける。龍の子は小さく呻いたけれど、泣き喚いたりはしなかった。
……いじめ?