予言と過去
がつっと、嫌な音が響いた。
あたしが投げた石は、少年の頭に直撃し。
髪の間から、血が滴った。
「ひゃっはー! 命中!!」
男子達は楽しそうに叫び、逃げろ~と言いながら走り出した。
其処で、我に返る。
……あたし……。
少年が顔を上げる。彼の綺麗な紅い瞳に宿るのは——闇。
……あたし、やってしまった。
いじめてしまった。
初めて会った彼。
一目惚れしてしまった彼。
いじめてしまった――。
自分が やってしまった事に、足が震える。
「……御免。」
気付けば、そう呟いて。
あたしは だっと逃げ出した。