予言と過去
男子達は、近くに落ちていた石を拾って、それを少年に向かって投げ始めた。
彼は必死に頭を庇うけど、四方八方から飛んで来る石から、身を護れる術なんて無い。直ぐに血が流れ始めた。
――止めなきゃ。
「ウィン、お前も やるだろ?」
――止めなきゃ。
差し出された友達の手に乗る、石。
――止めなきゃ。
「お前、強いじゃん。だからさ……。」
――止めなきゃ。
「俺達、友達だよな?」
――止めなきゃ。
何故か頭に浮かぶのは、寂しそうに笑うリホ。
――止めなきゃ。
あたしが彼を いじめなかったら、今度は あたしが いじめられる? はぶられる?
リホみたいに、独りぼっちに なる?
――止めなきゃ。
気付けば、男子から石を受け取り。
あたしは少年に、それを投げ付けていた。