予言と過去
「ライネス、どっか痛いとこ無い?」
リホちゃんは走り寄って来て、僕の躰に回復(ヒール)を掛けてくれる。
正直言うと躰中が痛いけれど、僕は彼女に向かって再び微笑んで見せた。
「うん、無いよ。」
いつも いつも助けてくれる、大切な幼馴染み。彼女には、心配を掛けさせたくないから。
「リホちゃん、今 帰り?」
話題を変えようと質問すると、彼女も微笑んだ。
「そうだよ。お買い物して来たの。ライネスは どうしたの?」
「いつもと同じように森に行ってたんだけど、帰りに見付かっちゃって。翔べれば見付からないかも知れないのにね。」
僕達 幻獣は、翼が在る種族は、4、5歳くらいには翔べるように なるのが普通だ。
それなのに、今年6歳に なる僕は、未だに翔べない。だから毎日 森に行って練習してるんだけど……。
「そっか、じゃあ お家迄 付いてってあげるよ。また虐められたら嫌でしょ?」
「ほんとに? ありがと!」
僕が そう言うと、リホちゃんは僕の手を取り歩き出した。
その手の暖かさに、安心感と、罪悪感を覚える。
リホちゃんと居れば、虐められる事は絶対に無い。
それは、彼女が村の子供達から恐れられているからだ。