予言と過去



「ライネス、どっか痛いとこ無い?」



リホちゃんは走り寄って来て、僕の躰に回復(ヒール)を掛けてくれる。



正直言うと躰中が痛いけれど、僕は彼女に向かって再び微笑んで見せた。



「うん、無いよ。」



いつも いつも助けてくれる、大切な幼馴染み。彼女には、心配を掛けさせたくないから。



「リホちゃん、今 帰り?」



話題を変えようと質問すると、彼女も微笑んだ。



「そうだよ。お買い物して来たの。ライネスは どうしたの?」


「いつもと同じように森に行ってたんだけど、帰りに見付かっちゃって。翔べれば見付からないかも知れないのにね。」



僕達 幻獣は、翼が在る種族は、4、5歳くらいには翔べるように なるのが普通だ。



それなのに、今年6歳に なる僕は、未だに翔べない。だから毎日 森に行って練習してるんだけど……。



「そっか、じゃあ お家迄 付いてってあげるよ。また虐められたら嫌でしょ?」


「ほんとに? ありがと!」



僕が そう言うと、リホちゃんは僕の手を取り歩き出した。



その手の暖かさに、安心感と、罪悪感を覚える。



リホちゃんと居れば、虐められる事は絶対に無い。



それは、彼女が村の子供達から恐れられているからだ。

< 64 / 89 >

この作品をシェア

pagetop