予言と過去
いつもと同じように虐められて、その日も耐えられると思っていた。
あの言葉を、聞く迄は。
殴られて、ぼんやりとする意識の中、不意に その言葉は耳に飛び込んで来た。
「あのリホとか言うフェニックス、マジでウゼェよな。こんな弱い奴 守ってさ、魔法が強いからって調子 乗りやがって。」
それを聞いた瞬間、胸の奥に どす黒い物が浮かんで。
僕は、腕に力を入れて、躰を起こそうとした。
言わなければ、いけないと思った。
「…………な。」
「は?」
出た声は掠れていて、自分の耳にすら はっきり届かなかったけど。
僕は、周りを囲んでいる男の子達を、上目遣いに睨んだ。
「彼女の事を、悪く言うな。」
「はぁ!?」
「僕の事は何とでも言え! でも、彼女を侮辱する事は許さない!!」
弱い僕を守ってくれる、本当に優しい彼女。
リホちゃんが侮辱される事が、僕は許せなかった。