禁域―秘密の愛―【完】
「いや………。まあ、良いけど」
その瞬間、私は驚いた。
あまりに、そう言う桐谷君の笑顔が優しかったから………。
そうだ。私はいつも、桐谷君が怖くて見れなかった。
だから、その表情がどうなっているかなんて、想像さえしなかった。
こんな柔かい顔もするんだーーー。
「おや、これは驚いたねえ。巧と同じ高校の制服を着ているから、もしやとは思ってたんだがね。
知り合いだったんだね、お前さんたち」
お婆ちゃんはそう言うと、ニッコリと笑った。
何だか、優しそうな人………。
私の祖母は、優しい所もあるけれど、躾などは両親より厳しい。
なので、目の前のただ優しそうなおばあさんが、私にはとても新鮮だった。
「ああ。 彼女はクラスメートの………、綾瀬。綾瀬 瞳だ。綾瀬、この人は俺の祖母だ」
「え………」
桐谷君………、私の名前、知ってたんだ。絶対に知られていないと思っていたのに。
今日は何だか………、驚くことばかりだよ。