禁域―秘密の愛―【完】
ーーー"瞳"
初めて名前を呼ばれたその瞬間、あまりのその甘い響きに私の心は全て囚われた。
そしてそれと同時に、桐谷君と想いが通じた嬉しさが溢れだす。
「巧………」
私は………私は。
「そうだよ………。私は、巧だけのものだよ………」
巧ーーー………。
「瞳………」
桐谷君は嬉しそうに笑うと、もう一度私の唇を塞いだ。
高ぶったお互いの気持ちは止まらずいつまでも繰り返すキス………。
私の胸は幸せでいっぱいだった。
やっと………やっと、巧に気持ちを伝える事ができたから。
ねえ………、巧?
私達、お互いを想う気持ちがあれば………、ずっとずっと一緒にいられるよね?
ーーーそう信じていいよね?
16歳 高校2年。ーーー夏。
無垢な愛は、そう信じた。
私は、確かに………巧との。
何より愛しい男(ひと)との永遠を、無垢な愛の中で信じたーーー。