禁域―秘密の愛―【完】
その事を知った光さんは、養育費は払うが絶対に表にだすなと瑞歩さんに釘を刺した。
そして、この一連の出来事で深く傷付いた瑞歩さんは、すでに芸能界を去っていた。
なので、無力な女性になった彼女は、例え深く光さんを恨んでいようと何も出来なかった。
しかし………生まれてくる子どもに罪はない。
そう思った瑞歩さんは、巧を産んだ。
瑞歩さんとおばあちゃん、そして巧の3人で静かにあの家で暮らし始めた。
「………愛してもいない男の子どもを妊娠などしなければ良かった。
母さんみたいに望まない妊娠をして、人生を台無しにされた女性は少なくともそう思うはずだ。
でも母さんは………、そんなことを一言も言わずに俺のことを深く愛してくれた。
大事にしてくれた。
………とても懐の深い、思いやりのある人だった」
巧がそう言うのを見て………、私は巧が重い過去を背負っているにも関わらず、人に優しくできるのは、瑞歩さんを見てきたからだろうと思った。
本当に瑞歩は素敵な人だったに違いない。外見も、中身も。