禁域―秘密の愛―【完】


そして月日は流れ、巧が小学校高学年になった頃だった。

光さんが………再び瑞歩さんに近付いたのは。

何でも、自分の本妻が不妊症だという話だった。

なので、正式に桐谷家の血を受け継ぐ男子が巧しかいないと言った。

妻も了承しているので、巧を桐谷家に譲って欲しいという信じがたい頼みだった。

もちろん、瑞歩さんは断った。

すでに自分の出生の事を知っていた巧も、桐谷家に行く気はさらさら無かった。

………そんな矢先、瑞歩さんが倒れた。
病名は、白血病。

かなり重度なもので、今すぐにでも設備の整った最先端の病院に行かなければ最善の治療はできないと行きつけの病院の医師から言われた。

しかし、そのためにはお金が必要だった。

しかし、その当時の菊谷家の資金といえば、おばあちゃんがパートをしながら貯めていたもの、瑞歩さんの残り僅かな女優時代の貯金。そして、巧の養育費。

仮にそれらを全て合わせたとしても、足りない額だった。
< 136 / 714 >

この作品をシェア

pagetop