禁域―秘密の愛―【完】
おばあさんとは、桐谷君も交えて色んな話をした。
桐谷君の母方の祖母で、旦那さんを数年前に亡くしてからは一人暮らしであること。
もう、大分昔からこの地域に住んでいること。
私が近所だと説明すると、もしかしたらどこかですれ違っているかもしれないね、と笑った。
そして、おばあちゃんを心配して、桐谷君はほとんど毎日のようにこの家に通っていること。
庭に咲いていた花や、おばあさんが出してくれた醤油味のおかきのことなど。
そんな他愛ない会話。
だけど………、私は楽しく過ごすことができた。
そして何よりもーーー
「ばあちゃん、薬ちゃんと飲んでるのか?」
「飲んでるよ。だから、こうしてピンピンしてるんだよ。巧は本当に心配症だねぇ」
「当たり前だろ、心配するのは」
また、桐谷君の新たな一面を発見した。
誰かの心配をこれでもかというくらいしていたり………、ふとした時のお婆ちゃんを見つめる表情に優しさが垣間見えたり。
そのすべてが、いつの間にか私を彼へと惹きつけていた。