禁域―秘密の愛―【完】
「瞳。お前も、もうちょっと疑えばいいんだよ。明らかに怪しかっただろ、関口の顔」
「はあ?ちょっと!
演劇部部長のあたしに向かって失礼ね、桐谷君!」
巧と愛ちゃんが何か言い合っているけれど………耳に入らなかった。
「良かった………」
「え?」
「巧と………同じクラスで、良かった」
一気に力が抜けた私は、ホッとして涙目になっていた。
「わーーー!泣かせた!桐谷君が瞳のこと泣かせた!どうしてくれんのよ〜!私の可愛い子を!!」
「お前な!元はと言えば、関口が面白がって変な嘘つくからだろ?」
巧は、はぁとため息をつくと私に近付いて
「瞳………。大丈夫だ。 ここに俺がいるだろ?」
そう言って笑った。
「っ、うんっ……」
嬉しいよ………。
また一年、巧の傍にいられるんだ。
「全く………瞳は。もし、クラス離れるって言っても進学科は二クラスしかないから隣なのに………。
これで、もし桐谷君がどっか遠くに行くことになったらどうするつもりなんだか………」
愛ちゃんがそうどこか心配そうに呟いていたのも………嬉しさでいっぱいだった私は気付かなかった。