禁域―秘密の愛―【完】
私がそこにいることを知らない………何も知らない女の子達が喋っているのがどこか遠くに聞こえた。
…………このまま、黙って聞いていると、不意に涙が溢れそうだ。
廊下で………泣く訳にはいかない。せめて………せめて、鞄だけでも取らなきゃ。
そう思った私は………静かにドアを開けた。
「えっ………?」
「あ、綾瀬さん!」
いきなり入ってきた私を見て二人は驚いた顔を浮かべる。そして、どこか罰の悪そうな表情をした。
「………もしかして、今の………」
「ごめん!綾瀬さん………だけど、まだ証拠も何もないし………」
巧を目撃したという女の子が、言い訳のようにそう言う。だけど………
「でも………確かに巧だったんでしょう?」
「それは………」
「いいよ……二人が悪いわけじゃないよ。だからこれ以上………何も言わないでもらえるかな?お願いだから」
分かってるのに。ただ、二人は事実を言ったまでで………責めるべき相手じゃないってことを。
だけど………胸が押しつぶされそうで、どうしたらいいのか分からなくて、二人にやつ当たりしてしまいそうな自分が怖い。