禁域―秘密の愛―【完】
「ごめん………綾瀬さん」
そう申し訳なさそうに言った彼女達に………私は、かぶりをふった。
そして、鞄を取りそれ以上何も言わずにその場を去った。
………学校を出て駅まで歩いて、電車を椅子に座りながら待つ。
私は俯きながら、少し気を落ち着かせようと……音楽プレーヤーを鞄から取りだす。
聴こえてくるのは、人気アーティストの春を舞台にした頑張る人への応援歌。だけど………。
「………っ」
ダメだ………涙がこぼれる。
電車がこっちに来る音が聞こえた。
でも………どうしても、立たない。
巧…………。
どうして………私に嘘をついたの?
婚約者って誰なの………?もう私は………あなたの傍にはいられないの?
巧ーーーー……………。
「た、くみ………っ!答えて、よぉっ………!」
涙が溢れ出し、思わず堪えられなかった気持ちを発した時だった。
「………綾瀬?」
聞き覚えのある声が聞こえ……不意に、私は顔をあげた。
そこには………
「藤……咲君?」
藤咲君が………藤咲 蓮が立っていた。
「………どうした?もう、電車行ったぞ。そんなところにうずくまるように座ってるなんて」