禁域―秘密の愛―【完】
巧は明らかに怒っていた。いつもの私なら、ここで間違いなく引いている。
だけど………今はーーーー
「何で………巧がそんなことを言うの………?」
巧だって、婚約者がいるってこと…………私にずっと黙ってるのに。
私が他の男子に触れられてると我が物顔で私を奪いに来る。
分かんないよーーーー。
「分かんないよ………。巧は、何がしたいの………?私を………一体どうしたいの………?」
「瞳………、何言ってるんだよ………?」
「………おい、桐谷」
その時、藤咲君が巧に話しかけた。
「…………藤咲」
「桐谷…………、今のお前に、綾瀬のことを責める資格は無いだろ?」
「何だって?何でお前にそんなことを言われる必要があるんだ!?」
「桐谷………お前、婚約者がいるそうじゃないか」
「なっ………」
藤咲君のその言葉を聞いた途端…….巧の顔が、動揺の色を浮かべた。
ああ………やっぱり本当なんだ。巧には、婚約者がいるんだーーーー。
私の心に一気に絶望感が広がっていく。