禁域―秘密の愛―【完】
「私らしい………?」
そんなことを言われるなんて思わなかった。
「ああ。 でも、まだそんなに綾瀬と関わった訳でもないから、断言はできない。
けど、ばあちゃんを助けたことも、男と帰ったことがなくて緊張しているところも………、全部綾瀬らしくて良いと思う」
「桐谷君………」
トクン、とまた胸が高鳴ると、熱い気持ちが込み上げてきた。
今まで、私をこんな風に認めてくれた人はいなかった。
“綾瀬さんって、他人の雑用引き受けるのが好きなの?"
“まだ、男子と一緒に帰った事もないの?超レア人物じゃない?"
その時、今まで言われてきた言葉を思い出した。
雑用が好きなわけじゃない。ただ、困っている人がいたら、手助けをしたいと思うだけ。
男子と一緒に帰ることがそんなに価値のあることなの?
言われる度にそう思って、悔しい思いもした。
だけど、言い返す勇気なんてなくて、ただ自分に対して自信を失っていった。