禁域―秘密の愛―【完】
「瞳の事情もまるで聞かずに……藤咲と、何かあるって勝手に思って……頭に血が上って、あんな最低な事……してしまった」
「巧……」
「俺の事……殴っていいんだぞ」
何……言ってるの、巧。
あなたが私をああしたことで……一番深く傷付いてるじゃない。
そんな巧の顔を見た途端、胸が凄く締め付けられた。
……お願い。お願いだから……
「そんな顔……しないで……?」
私は、たまらなくなった。ーー目の前の大きな……でも今は、どんなものよりも小さく見える愛しいこの男(ひと)に無償に触れたくなって。
そっと、その頬を包み……キスをしていた。
「……ひ、とみ……」
「好きよ……巧。何よりも……あなたが好き。だから、そんな顔をしないで……傷付かないでお願いだから……」
「……っ」
巧は、顔を一瞬涙がでそうになるくらい歪ませるとーー
「悪かった……本当に、悪かった……」
私をきつく抱きしめた。
「……本当に藤咲君とは、何もないんだよ……あの時はたまたま私が落ち込んでたから彼がそれを励ましてくれただけで」
「ああ……冷静になれば分かることなのに……俺は何をしてたんだって思ったよ」