禁域―秘密の愛―【完】
「………冷静に、なれなくなってくる」
巧はそっと私を離すと………そう言った。
「………瞳が、段々俺から離れていくと思うと………」
「何……言ってるの?私はずっと巧と一緒にいるって言ってるじゃない………」
もう何度も巧と約束していること。
巧だってわかっているでしょう…………?
「………ああ。でも、それだけじゃ」
「………?」
「それだけじゃ………無理なんだよ」
巧がそう呟くのを見て……私は意味がわからなくなった。
「何で?どうして………?何が問題なの?」
「瞳っ………」
「私はずっと巧と一緒にいるって………巧もそう望んでくれて………。それで良かったじゃない………!今までだってそうだったじゃない………!」
何が駄目なのか、何が問題なのか全く分からなくて………私は巧にそう涙ながらに叫んでいた。
「……….確認してみたんだ」
「……え?」
「桐谷商事のここ数年の収支決算書と、来年の予算案を………俺の思った以上に、財政難が深刻だった。今すぐにでもどこかから支援を受けられなければ………もしくは状況を改善させるいい策を打ってそれを実行しないければ………破綻するのも時間の問題だ」