禁域―秘密の愛―【完】
「そ………んな」
まさか………桐谷商事がそこまで追い詰められていたなんて。
「ああ………あの父のことだ。ギリギリまで見栄を張ってたんだろう。でも、もう本当にヤバイんだ。………そう、本当に気付かされたのは、誕生日の日に、誕生会と嘘をつかれて父に連れていかれたホテルへ行った時だ」
「あ………」
ドクン………と、それを聞いた途端、嫌な胸の高鳴りがした。
「………目の前にいたのは、桜庭(さくらば)家の娘だった。桜庭英一………っていうのは瞳も知ってるだろう?何年か前に総理大臣候補とまで言われてた元衆議院議員だよ。俺が会ったのは、桜庭英一の孫娘だった」
「それは、………つまり」
「………ああ。その孫娘が……どうやら、俺をパーティか何か公的な場で見たらしい。俺を気に入ったそうだ………。俺と結婚を前提に付き合ってくれれば、桜庭家が資金提供すると………桐谷商事の立て直しにも貢献してくれると。そういう内容の……ものだったんだ。あの日、夜まで拘束されてたのは………」