禁域―秘密の愛―【完】
「そんな………ことって」
「桜庭英一が………かなり、孫娘に甘くてな。彼女のためなら何でもするっていう風なんだよ………。俺も、もう少し何とか資金提供だけで構わないかいくらか別の条件をだして交渉してみる。けど………」
巧は………その言葉を呑み込んだ。
分かってる…………分かってるよ………。
「その子と………結婚を前提に付き合うかもしれないって事でしょう……?私と………私と、別れてーーーー………」
「………っ」
ーーーーどうしても超えられない壁。
お互いに好きなだけでは………恋愛感情だけでは、一緒にいられない現実を…………私は、この時初めて見たんだ……。
「………桐谷家なんて、どうでもいい。俺にとってはあんな家、今すぐにでも手放して構わないんだ。瞳と………お前と一緒にいられるなら……だけど、ビジネスが絡むとなると話は違う。俺の決断で色んな人の……人生が幸福にもなり………不幸にもなる。できれば………俺は、」
「幸福になることを………選びたいんでしょう………?」