禁域―秘密の愛―【完】

私は、再び意を決して巧のお父さんがいるという校長室に向かう。

………凄く緊張してなんだか気分が悪いけれど、向かうしかないんだ。



何を言われようと…………。




「ーーーーはい」

扉を叩くと………声の低い男性の声がした。



扉の向こうにいるのが………、桐谷 光。 巧のお父さんーーーー。



「…………失礼、します」



息を深く吸った後思い切って扉を開けた。

一番奥には、校長先生が使う茶色のテーブルがあり、その前にガラス張りの机がとその左右には黒革の椅子が設置されていた。

そして、その黒革の椅子の右側に座っている一人の男性が立ち上がり、


「…………初めまして」

ゆっくりとそう言った。


「初め、………まして」

私はその威圧感に押されながらも何とか挨拶をする。

巧とは…………似ていない。巧は全体的に細身のモデル体型で顔形は顎がスラとしていて小顔だ。

目は少し釣り気味だけれど、二重で鼻筋も通っていて口元も凄く整っている。

だから、本当に美少年を模した彫刻のようだけど。

目の前の……この人は、確かにかっこいいのだけど、巧のそれとは違う。

この年齢にも関わらずガッチリとした筋肉質の男らしい体型で、白髪が混じった黒の短髪で全体的に顔も整っているのだけど………何というか、古風な日本人男性らしい感じがする。

…………巧はきっと、女優さんであった母親の瑞歩さんに似てるんだな。




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