禁域―秘密の愛―【完】
「………けど」
巧のお父さんは私の目を見据えた。
けれど…………それは、けして褒められたものではなかったーーーー。
「巧と君には…………別れてもらう」
「…………っ」
やっぱり…………だ。
想像していたものが、きた。
その事実を受け入れられず、ただ頭が真っ白になり何も出来ないというよりは………ただ、"ああそうだよね"と冷静に巧のお父さんを見つめる私がいた。
だって、巧のお父さんがわざわざ学校まで出向いて、二人きりで私を呼び出すなんてそれしかない……………。
「…………想像していた、と言わんばかりの顔だね」
「巧に………聞かされていましたから。婚約者のことは…………」
「ならば、話は早い。そうだ。婚約者である桜庭英一の孫娘は巧を気に入っている。そして………、二人がめでたく婚約を約束した付き合いをすることになれば、我が社には莫大な資金提供が寄せられると同時に大きなビジネスのバックを手にする」
「知っています…………」
もう、それしか方法がないかもしれないということも……全て。
「…………君の家は、父親が大和不動産の支店長。母親は、専業主婦ときている。なるほど確かに大手不動産で、生活はそれなりだろう。しかし………君の家が、桐谷商事にとっての財政的切り札には………ならないんだよ」