禁域―秘密の愛―【完】
「…………そこまで、わざわざ言わなくてもいいじゃないですか?」
私は腹が立った。私の家族のことを財政的な面でだけでいとも簡単に侮辱されたことに。
…………この人は、巧の言うとおりの人だと思った。
自分の都合のいいものしか受け入れない。手に入らない場合は何としても、何を犠牲にしても手に入れようとする。
…………逆に都合の悪いものは徹底的に排除しようとする。
そうして…………、そうやって、巧を縛り付けてきたんだーーー………。
「侮辱だって?それは事実だろう。頭の良い優等生の君なら話が分かると思ってたが」
「でも………家族をバカにされて怒らない子はいません。巧のことも………私は、あなたを許さない。自分の都合のいいように巧を縛り付けるあなたを…………」
私は、巧のお父さんを睨みつけた。大企業の社長だとか、高校に多額の寄付金を収めてるとか…………そんなのはもう関係なかった。
ただ………私の家族を侮辱し、巧を苦しめ続け、私たちを引き裂こうとするこの男が…………憎かった。
ーーーー物凄く、憎かった。
自分の中にこんな感情があったなんて…………。